香港のエビワンタン麺。
エビの出汁で取ったスープに、
強烈なコシのある極細麺、
エビが数匹ごろごろと入った大きなワンタン。
レンゲでスープをすくうと
エビの濃厚なエキスの香りが鼻腔を突き抜ける。耳の下から鼓膜にかけてのあたりがビリビリと刺激を受けると、それは間もなく口の中に唾液が溢れ出るシグナル。唾液腺があまりに強い反応を示すので、食べる前からほっぺたがごそりと落ちてしまうのではないかと心配してしまう。空腹時のエビワンタン麺は危険だ。
麺はまるで細い輪ゴムでも噛んでいるんじゃないかと思うほどの
弾力。スープが濃厚だからこの極細麺を頬張ると、口の中がうまい具合に濃厚なスープの香りで満たされる。そして慌てずともゆっくりと麺のコシを味わえるのだ。
ワンタンの中はすり身ではない丸のままのエビがごろごろと入っている。
プリプリという表現は、まさに香港のエビワンタンのためにあるのではないかと思う。スープと一緒に口の中がエビで満たされる至福の瞬間を味わいたい。
一心不乱に食べ続けていよいよ少量のスープを残すのみとなった時、おもむろに食卓においてある紅酢を器に垂らしてスープをワイン色に染める。旨味と酸味が絶妙に調和して、食後に極上のスープを味わっている気分になる。
昼食でエビワンタン麺を食べたばかりなのに、夕食時になるとまた麺屋にフラッと入ってしまっている自分がいる。一人旅の時はそうだった。朝遅い時間に起き出てブランチにエビワンタン麺、夕食にエビワンタン麺、そして香港の一日が終わっていく。
香港以外でこの本場の味はどこでも味わえるものではありません。香港では他の物を食べられなくてもいいから、エビワンタン麺だけは味わっておきましょう。日本円で一杯たったの200円ほどです。